減価償却スケジュール作成|4年間のシミュレーション

減価償却スケジュール作成|4年間のシミュレーション

4年償却の基礎 2026.02.22 公開 2026.04.14 更新

この記事でわかること

Q. 4年償却のスケジュールを教えてください
A. 建物取得価額を4年で均等に償却します。例えば2,400万円なら、1年目から4年目まで毎年600万円の償却費を計上します。
Q. 初年度が途中からの場合はどうなりますか?
A. 月割計算になります。7月に事業開始なら初年度は6ヶ月分(年間償却費×6/12)、2〜4年目はフル12ヶ月、5年目に残り6ヶ月分を計上します。
Q. キャッシュフローはどう変化しますか?
A. 1〜4年目は償却費が大きく帳簿上赤字になりやすいため、税金が少なく手元にキャッシュが残ります。5年目以降は償却がなくなり、税負担が増えます。
Q. 5年目以降の対策は?
A. デッドクロス対策として、5年超保有後の売却、新たな物件購入による償却費補充、法人の繰越欠損金活用などがあります。
Q. スケジュール作成のポイントは?
A. 購入時点で4年間の償却スケジュールを作成し、5〜6年目の出口(売却)まで含めた長期計画を立てることが重要です。

減価償却とは

減価償却とは、建物や設備などの資産の取得費用を、耐用年数にわたって毎年少しずつ経費として計上する仕組みです。土地のように価値が減らない資産は対象外ですが、建物は年数の経過とともに価値が下がるため、その分を経費にできます(国税庁「減価償却のあらまし No.2100」参照)。

不動産投資では、この減価償却費が実際のキャッシュアウトなしに計上できる経費となり、節税の大きな柱になります。

4年償却スケジュールの基本

築22年超の木造アパートは、簡便法により4年で建物価額全額を償却できます(所得税法施行令第129条、国税庁「中古資産の耐用年数 No.5404」参照)。

基本の計算:

年間償却費 = 建物取得価額 ÷ 4年

購入時点で4年間の償却スケジュールを作成し、キャッシュフローと税金の推移を把握しておくことが重要です。

シミュレーション条件

以下の条件で4年償却のシミュレーションを行います。

項目金額
物件価格8,000万円
建物価格2,400万円(建物比率30%)
土地価格5,600万円
年間家賃収入600万円
経費(償却費除く)100万円
購入者の所得税率45%(住民税込み55%)

年度別償却スケジュール

建物2,400万円、4年償却の場合:

年度年間償却費累計償却額未償却残高
1年目600万円600万円1,800万円
2年目600万円1,200万円1,200万円
3年目600万円1,800万円600万円
4年目600万円2,400万円0円
5年目〜0円2,400万円0円

4年目で償却完了し、5年目以降は償却費がなくなります。

キャッシュフローシミュレーション

1〜4年目(償却期間中)

家賃収入:     600万円
経費:       △100万円
減価償却費:  △600万円
────────────────
不動産所得:  △100万円(赤字)

この赤字100万円を給与所得と損益通算:

給与所得2,000万円 + 不動産所得△100万円 = 課税所得1,900万円
所得圧縮額:100万円

5年目以降(償却終了後)

家賃収入:     600万円
経費:       △100万円
減価償却費:       0円
────────────────
不動産所得:   500万円(黒字)

不動産所得500万円に課税:

追加税負担:500万円 × 55% = 約275万円

これがデッドクロスの正体です。

4年間の所得圧縮額

年度償却費所得圧縮額
1年目600万円600万円
2年目600万円600万円
3年目600万円600万円
4年目600万円600万円
合計2,400万円2,400万円

4年間で2,400万円の所得圧縮。ただし、売却時に税金が発生する点に注意。

所得5,000万円の場合|節税シミュレーション

年収5,000万円(限界税率55%)の場合、4年償却でどれだけ節税できるかをシミュレーションします。

条件

項目金額
給与・事業所得5,000万円
物件価格1億5,000万円(築25年木造アパート)
建物価格5,000万円(建物比率33%)
土地価格1億円
年間家賃収入900万円(利回り6%)
経費(償却費除く)200万円
年間償却費1,250万円(5,000万÷4年)

年間の税効果

不動産所得は「家賃収入900万 − 経費200万 − 償却費1,250万 = △550万円」の赤字。この赤字を給与所得と損益通算し、課税所得が圧縮されます。

期間不動産所得課税所得年間の税効果
1〜4年目(償却中)△550万円4,450万円約303万円の節税
5年目〜(償却終了後)+700万円5,700万円約385万円の追加負担
年間の税効果(所得5,000万円の場合)+400万+200万0−200万−400万+303万+303万+303万+303万−385万1年目2年目3年目4年目5年目〜← 4年間累計 約1,210万円の節税 →デッドクロス

1〜4年目は毎年約303万円の節税効果があり、 4年間の累計で約1,210万円 の税負担軽減になります。

5年目以降は償却がなくなり、家賃収入がそのまま課税対象に。年間約385万円の追加税負担が発生します(デッドクロス)。これが 5年超保有後の売却 を検討すべき理由です。

売却時の税率差メリット

6年目に物件を購入価格で売却した場合、建物の簿価は0円のため5,000万円が譲渡所得になります。しかし5年超保有の長期譲渡所得は 税率約20% (租税特別措置法第31条)。

項目金額
4年間の節税効果(55%で控除)+1,210万円
売却時の譲渡所得税(20%で課税)△1,016万円
税率差による手残り+194万円

控除時55%、売却時20% ——この税率差が4年償却の構造的な利益です。さらに6年間の家賃収入(900万×6年=5,400万円)が別途キャッシュとして手元に入ります。

詳しくは 4年償却は「繰り延べ」ではない理由 をご覧ください。

月割計算が発生するケース

事業開始が年の途中の場合、初年度は月割計算になります。

例:7月に事業開始の場合

年度償却月数償却費
1年目6ヶ月300万円
2年目12ヶ月600万円
3年目12ヶ月600万円
4年目12ヶ月600万円
5年目6ヶ月300万円
合計48ヶ月2,400万円

5年目に残り6ヶ月分の償却が残る点に注意してください。

出口戦略を含めた長期計画

推奨スケジュール:

年アクション
1年目購入・償却開始
2〜4年目償却による節税
5年目償却終了・売却準備
6年目〜長期譲渡所得で売却

5年超保有で長期譲渡所得(税率約20%)が適用されるため、6年目以降の売却が有利です。

スケジュール作成のポイント

  1. 購入時点で出口まで計画

    • 4年償却+2年保有=6年での売却を想定
  2. 月割計算を考慮

    • 年初に購入すればフル償却可能
  3. キャッシュフロー表を作成

    • 年度ごとの税金とキャッシュを把握
  4. 売却後の税金も試算

    • 譲渡所得税を含めたトータルで判断

まとめ

  • 4年償却は毎年建物価額の25%を経費計上
  • 高所得者は4年間で大きな所得圧縮効果
  • 5年目以降は償却がなくなりキャッシュフロー悪化
  • 購入時に6年間のスケジュールを作成すべき

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本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の税務上の助言ではありません。税制は法令改正や国税庁の通達等により取扱いが変更される場合があります。具体的な税務判断については、必ず税理士等の専門家にご相談ください。

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