確定申告ソフト比較2026年版|不動産所得に対応したツール
この記事でわかること
Q. 確定申告ソフトは必要ですか?
Q. 無料で使えるソフトはありますか?
Q. 不動産所得に特化したソフトはありますか?
Q. 会計ソフトを使えば税理士は不要ですか?
Q. クラウド型とインストール型どちらがおすすめですか?
Q. サラリーマン大家・不動産オーナーはどの確定申告ソフトを選べばいいですか?
Q. 弥生会計などの会計ソフトだけで法人税の申告までできますか?
結論:不動産オーナー(サラリーマン大家)のソフト選び【早見表】
不動産所得の確定申告ソフトは、記帳のしやすさ・不動産所得用の決算書への対応・e-Tax連携(法人化を視野に入れるなら申告まで対応できるか)で選びます。タイプ別の結論を先に示します。
| こんな人 | おすすめ | 月額目安(年払・税抜の最安プラン) | 理由 |
|---|---|---|---|
| 簿記が苦手・初めて青色申告 | freee | 980円〜 | 質問形式で、簿記知識がなくても申告書まで作れる |
| コスト重視・国内シェア重視 | やよいの青色申告 オンライン | 初年度無償〜(次年度 年1万円台) | 初年度無償、サポートが手厚い |
| 法人化も視野・複数事業 | マネーフォワード クラウド | 900円〜 | 会計・給与・請求書まで連携、法人化後も移行しやすい |
| 帳簿は自分で付ける・費用0 | 国税庁「確定申告書等作成コーナー」(無料・e-Tax対応) | 0円 | 申告書作成は無料。ただし日々の記帳機能はなし |
| Macユーザー | クラウド会計(freee/MF/やよいオンライン) | 上記に準じる | デスクトップ型は大半がWindows専用 |
| AIと連携させたい・法人決算も自分で | freee/マネーフォワード クラウド | 上記に準じる | MCP対応で、AIから会計データに直接接続できる |
※2026年6月時点の目安(年払・税抜の最安プラン)。月払い・課税事業者向け上位プラン・キャンペーンで変わるため、最新の正確な料金は各社公式で確認してください:freee 料金/マネーフォワード クラウド確定申告 料金/やよいの青色申告 オンライン 料金。
迷ったら、サラリーマン大家・不動産オーナーは「記帳の手間を最小化できるクラウド型(freee・マネーフォワード)」が基本です。家賃入金・管理委託料・修繕費は毎月ほぼ定型なので、銀行・カード連携とAI自動仕訳で取り込めると入力の手間が大きく減ります。以下、比較表 → 実務の注意点 → 筆者の体験、の順に解説します。
主要ソフトを比較(freee・マネーフォワード・弥生・国税庁)
確定申告に使うツールは、(1) 記帳から申告まで一貫できるクラウド会計ソフト(freee、マネーフォワード)、(2) PCにインストールして使うインストール型(弥生会計、会計王)、(3) 申告書作成に特化した国税庁の無料ツール、の3系統に分かれます。不動産オーナーに現実的なクラウド3社をまず比較します。
| 項目 | freee | マネーフォワード クラウド | やよいの青色申告 オンライン |
|---|---|---|---|
| 料金目安(最安・年払税抜) | 980円〜/月 | 900円〜/月 | 初年度無償/次年度 年1万円台 |
| 不動産所得対応 | ○ | ○ | ○ |
| 複式簿記(青色65万円控除) | ○ | ○ | ○ |
| e-Tax連携 | ○ | ○ | ○ |
| 銀行・カード連携 | ○ | ○ | ○ |
| インボイス制度対応 | ○ | ○ | ○ |
| 電子帳簿保存法対応 | ○ | ○ | ○ |
| AI自動仕訳 | ◎(独自AI) | ○(MFクラウドAI) | ○(2024年以降強化) |
| 4年償却(耐用年数) | ○(手動入力) | ○(手動入力) | ○(手動入力) |
| 向いている人 | 簿記が苦手な初心者 | 法人化・複数事業を視野 | コスト重視・サポート重視 |
※料金は2026年6月時点の目安(年払・税抜の最安プラン)。上位プラン・月払い・キャンペーンで変動します。最新の正確な料金は各社公式で確認してください:freee/マネーフォワード/やよい。
インストール型(弥生会計・会計王 等)は、買い切りや年額で手元のPCに入れて使うタイプです。操作の快適さではクラウドを上回る場面もありますが、大半がWindows専用でMac対応はごく一部にとどまり、Macユーザーは事実上クラウド一択になります。また後述のとおり、伝統的なインストール型は法人税の申告まで単体で完結しない点にも注意が必要です。
国税庁の無料ツール(e-Tax)との使い分け
「会計ソフトと国税庁の無料ツール(確定申告書等作成コーナー)のどちらを使うか」は、日々の記帳が必要かどうかで決まります。
| 会計ソフト(freee/MF/弥生) | 国税庁 確定申告書等作成コーナー | |
|---|---|---|
| 料金 | 月額1,000円前後〜 | 無料 |
| 日々の記帳・帳簿作成 | ○(自動仕訳・連携あり) | ×(帳簿機能なし) |
| 青色申告65万円控除の複式簿記 | ○ | △(帳簿は別途用意が必要) |
| e-Tax電子申告 | ○(ソフトから直接) | ○(公式から直接) |
| 向いている人 | 取引が多い・記帳を効率化したい | 帳簿を自分で付けられる・コスト0にしたい |
国税庁の無料ツールは「申告書作成・e-Tax送信」はできても「日々の記帳(帳簿づけ)」はできません。青色申告65万円控除には複式簿記の帳簿が必須なので、記帳から申告まで一貫させたい人は会計ソフト、Excel等で帳簿を自作できる人は国税庁ツール+e-Tax、というのが基本の使い分けです。
不動産所得の確定申告で押さえる実務ポイント
ソフトを選んだら、不動産所得ならではの論点を押さえておきましょう。ソフトが自動でやってくれる部分と、自分(または税理士)が判断すべき部分があります。
入力の基本的な流れ
収入の入力 → 経費の入力 → 減価償却の設定 → 損益計算書の確認 → 確定申告書の作成 → e-Taxで提出、という流れです。減価償却は「取得価額・取得日・耐用年数(4年など)・償却方法(定額法)」を入力すれば、ソフトが自動計算します。
不動産所得ならではの注意(勘定科目・決算書様式)
一般的な会計ソフトは事業所得向けの表示が基本のため、勘定科目を不動産所得用に読み替えます(例:「売上高」=家賃収入、「外注費」=管理委託費)。また不動産所得用の青色申告決算書は事業所得用と様式が異なり、ソフトによっては別途作成が必要です。選ぶ前に対応を確認しましょう。
ソフトでは対応できない論点(人間の判断が必要)
- 土地建物の按分:契約書に土地・建物の内訳がない場合、按分計算は自動化されません。固定資産税評価額按分・不動産鑑定士評価・消費税からの逆算など、複数の方法から合理的な方法を選ぶ必要があります。
- 損益通算の土地利子除外:損益通算から除外される土地利子(不動産所得の赤字のうち、土地取得のための借入金利子分は給与など他の所得と相殺できないというルール。租税特別措置法第41条の4)は、入力欄が奥にあって見落としがち。入力漏れは税務調査で指摘されるため、青色申告決算書(不動産所得用)の「借入金利子の内訳」の土地分を正しく入力します。
- デッドクロス後の税務判断:減価償却が終わり、ローン元金の返済額が減価償却費を上回って帳簿上は黒字でも手元資金が苦しくなる局面(デッドクロス)での、法人への物件移転・売却・追加購入といった判断は、ソフトだけでは対応できません。ソフトは記帳と申告書作成のツールであり、戦略判断は税理士または投資家自身の知識が必要です。
2026年の前提(インボイス・電帳法・AI仕訳)
- インボイス制度(2023年10月開始):賃料収入が事業規模(5棟10室基準)を超える等で課税事業者になる場合、適格請求書の発行・受領管理が必要です。主要ソフトは対応済みで、仕入税額控除の経過措置(2029年9月まで段階的縮小)の計算にも対応します。
- 改正電子帳簿保存法(2024年1月完全施行):メール添付のPDF請求書など電子取引データは、電子のまま保存する義務があります(紙に印刷して保存は不可)。家賃明細・修繕費の請求書・管理委託契約書・固定資産税通知書などが対象。主要ソフトはタイムスタンプ付与・検索要件・訂正削除履歴の保存に対応済みです。
- AI自動仕訳:各社ともAI仕訳の精度を強化しています(freeeは領収書画像からの判別、MFは継続取引の自動分類など)。ただし4年償却の簡便法計算は手動入力です(簡便法=中古資産の耐用年数を、法定耐用年数ではなく簡易な式で短く見積もる方法)。築22年超の木造で「耐用年数4年」を自動判定してくれるソフトはありません。
筆者の体験:弥生会計を使って感じたこと(法人化を考えるなら要注意)
ここからは、筆者(齋藤)が実際に弥生会計を使ってきた経験からの率直な所感です。
正直なところ、満足はしていませんでした。 歴史あるソフトだけに操作体系が古く、使い勝手が良いとは言えません。それでも長年使って慣れてしまうと、いざ他社ソフトへ移ろうとしても操作感が違いすぎて踏み切れない——いわばベンダーロックインに近い状態に陥ります。乗り換えたい気持ちはあっても実際には動けない、というのが長らく本音でした。
このロックインは、AIから会計データに直接接続できるようになったことで解けました。筆者はその後、弥生会計からfreeeへ移行しています。移行の経緯と、AIを使って法人税申告書の作成を2時間で終えた実際の手順は資産管理法人の決算をAIで完結させるにまとめました。
そのうえで、法人化を考えている人に特に伝えたい注意点があります。筆者は長年、会社(法人)の申告を「弥生会計+別の申告ソフト」で行ってきました。弥生会計だけでは法人税の申告が完結せず、別途ソフトが必要だからです。
これは弥生に限った話ではありません。調べてみると、伝統的な会計ソフトの機能は「決算書の作成まで」がほとんどで、法人税申告書(別表)の作成には、税理士に依頼するか、「法人税の達人」「申告奉行」「PCA法人税」などの専用の税務申告ソフトを別途使うのが業界共通の構造です(クラウドのfreee・マネーフォワードも、申告書の作成は「freee申告」「マネーフォワード クラウド申告」など別プロダクトが前提になります)。会計ソフトが帳簿を管理し、税理士がそのデータで申告する——歴史あるソフトほど、この「税理士とセット」の業務フローを前提に作られているのです。
| 用途 | 会計ソフト本体(弥生会計・勘定奉行 等) | 法人税申告書(別表)の作成 |
|---|---|---|
| 個人の青色申告 | 単体で完結できる | — |
| 法人の決算書作成 | 対応 | — |
| 法人税の申告書(別表)作成 | 本体だけでは不可 | 税理士に依頼/専用の申告ソフトを別途 |
つまり、将来の法人化まで自分で申告したいなら「会計ソフト単体で申告まで終わらせられるか」を必ず確認すべきで、その観点では伝統的なインストール型(弥生会計など)を筆者として積極的にはおすすめしません。逆に、法人の申告は税理士に任せる前提なら、税理士が使い慣れたソフトに合わせるのも合理的な選択です。
まとめ
- 不動産オーナー(サラリーマン大家)は、記帳の手間を減らせるクラウド会計(freee・マネーフォワード)が基本。初心者はfreee、コスト重視はやよいの青色申告 オンライン、法人化・複数事業はマネーフォワード
- 帳簿を自分で付けられるなら、国税庁の無料ツール+e-Taxも選択肢(記帳機能はなし)
- Macユーザーはデスクトップ型の選択肢がほぼなく、実質クラウド一択
- 土地建物の按分・損益通算の土地利子除外・デッドクロス後の判断など、ソフトでは対応できない論点は税理士相談を推奨
- 法人化を視野に入れるなら、会計ソフト単体では法人税申告が完結しない点に注意(伝統的ソフトは決算書まで=申告書は専用ソフトか税理士が前提)
自分に合ったソフトを選んで、効率的に確定申告を行いましょう。
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の税務上の助言ではありません。税制は法令改正や国税庁の通達等により取扱いが変更される場合があります。具体的な税務判断については、必ず税理士等の専門家にご相談ください。
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