レントロールの読み方|収益性を正しく評価する

レントロールの読み方|収益性を正しく評価する

物件選び 2026.02.21 公開 2026.05.22 更新

この記事でわかること

Q. レントロールとは何ですか?
A. 各部屋の家賃、入居者情報、契約状況などをまとめた一覧表です。物件の収益性を確認するための重要な資料で、購入検討時に必ず入手すべきです。
Q. レントロールで何を確認すべきですか?
A. 各部屋の家賃、空室の有無、入居日(入居期間)、共益費、敷金礼金などを確認します。相場との乖離や長期空室がないかもチェックします。
Q. 家賃が相場より高い場合は問題ですか?
A. 長期入居者の家賃が相場より高い場合、退去後に家賃を下げる必要があり、収入が減る可能性があります。相場家賃で収支を再計算してください。
Q. 空室がある場合どう評価しますか?
A. 空室分は相場家賃で想定し、かつ入居までの期間も考慮します。長期空室がある場合は、入居が決まらない理由を確認することが重要です。
Q. 入居期間の長さは重要ですか?
A. はい。長期入居者が多いと安定していますが、退去リスクも考慮が必要です。一斉退去のリスクや、退去後の原状回復費用も確認しましょう。

「満室・利回り12%」のレントロールに騙されない

先日、業者から紹介された物件の利回りが10%近くあって、築古アパートにしては珍しい数字だなと思いつつレントロールを開いてみたら、入居率はわずか3割でした。表面利回りは満室想定で計算されているため、現状の家賃収入だけで見れば実態は3%強しか出ていない、というのが種明かしです。

レントロール(家賃表)は物件の収益性を測る最重要資料ですが、 表示利回りは満室想定で計算されているのが通例 です。家賃が相場より高すぎないか、入居日が直近に集中していないか、空室がどれだけ残っているか——買ってから気づくと取り返しがつかない論点が、この一枚の表の中に詰まっています。

この記事ではレントロールの基本的な読み方と確認項目を整理し、より踏み込んだ論点(業者の利回りアピール、全空室物件の見極め、価格交渉)は関連記事に分けて解説します。

レントロールとは

レントロールとは、物件の各部屋の賃貸状況をまとめた一覧表です。各部屋ごとに、部屋番号と間取り・面積、家賃と共益費、入居者名(または入居の有無)、入居日、契約更新日、敷金・礼金などが一覧で確認できます。物件の収益性を判断するための最重要資料といえます。

百聞は一見にしかずなので、まずは典型的なレントロールの中身を見てみましょう。以下は築20年木造2階建てアパート(8戸)の例で、ほぼ満室稼働・入居時期もばらけている健全な物件の家賃表です。

部屋間取り専有面積賃料(月額)共益費入居状況入居日契約形態敷金/礼金
1011K22.0㎡52,000円3,000円入居中2023/05/15普通借家1/1
1021K22.0㎡53,000円3,000円入居中2022/08/01普通借家1/1
1031K22.0㎡52,000円3,000円入居中2024/02/10普通借家1/1
1041K22.0㎡(53,000円)3,000円空室(募集中)———
2011K22.0㎡53,000円3,000円入居中2021/06/20普通借家1/1
2021K22.0㎡54,000円3,000円解約予定(2026/07/15退去)2023/01/05普通借家1/1
2031K22.0㎡52,000円3,000円入居中2024/04/01普通借家1/1
2041K22.0㎡53,000円3,000円入居中2022/11/12普通借家1/1

満室想定の月額賃料は42.5万円(共益費込み44.9万円)、現状(104号室が空室、202号室は2026年7月退去予定)の月額家賃収入は37.2万円。年間家賃収入は満室で510万円、現状ベースで446万円という見え方になります。 202号室は退去予定が判明している分だけ織り込んで判断するのが実務的 で、相場家賃と空室期間の見込みを別途想定して再計算する必要があります。

実務で扱うレントロールにはこのほか「家賃保証会社の利用有無」「更新月」「滞納の有無」が追記されることもあり、書式は仲介業者や管理会社ごとに微妙に異なります。共通しているのは「 各部屋が誰に・いくらで・いつから貸されているか 」が1枚で見渡せること。この情報をもとに、収益が安定しているか、相場とずれていないか、リスクが潜んでいないかを読み解いていきます。

レントロールの入手方法

一棟収益物件であれば、レントロールは販売資料に必ず添付されている標準資料です。仲介業者から物件紹介を受けた時点で同封されてくるため、わざわざ請求する手間はかかりません。

ただし、入居状況や家賃は時間とともに変動するため、契約直前には最新版を取り直して確認することが重要です。資料に添付されているレントロールが半年以上前の日付になっていたり、作成日が記載されていなかったりする場合は、必ず直近のものを求めましょう。最新版を出し渋る業者の物件は、滞納や空室の進行を伏せている可能性も視野に入れたほうが無難です。

確認すべき項目

1. 家賃と相場の比較

各部屋の家賃が相場と比較して適正かを確認します。近隣の同条件物件の募集家賃を不動産ポータルサイトで調べるとともに、仲介業者に相場をヒアリングして裏付けを取りましょう。相場より高い家賃の部屋がある場合、現入居者が退去した後は家賃を下げざるを得ず、その分だけ収益が減少します。長期入居者の家賃ほど相場との乖離が生じやすいため、入居期間とセットで確認するのが鉄則です。

2. 空室の状況

空室状況評価
満室良好
1〜2室空室要確認
長期空室あり注意
半分以上空室要警戒

長期空室が含まれる物件では、なぜ空室が続いているのかを必ず管理会社にヒアリングしましょう。家賃設定が周辺相場と合っていないのか、設備や間取りに弱点があるのか、立地そのものに需要がないのか——原因によって購入後の対処コストが大きく変わります。 全空室の物件は通常の運営状態ではなく、建て替え計画の中止・相続放棄・需要消失・業態転換の撤退跡など必ず何らかの背景があり、買い手は背景の聞き取りが必須 です。詳しくは姉妹サイト不動産解体新書の 全空室の一棟物件、なぜ売られているのか で解説しています。

3. 入居期間

長期入居者と短期入居者のバランスも収益安定性に直結する論点です。長期入居者が多い物件は家賃収入が安定している反面、いざ一斉退去が起きたときの空室リスクが集中するうえ、現家賃が相場より高止まりしていて退去後に下げざるを得ないケースも少なくありません。逆に短期入居者が多い物件は、入居付けの手間と原状回復費用が頻繁に発生するため、表面利回りに比べて手残りが薄くなる傾向があります。

4. 契約条件

敷金は退去時の原状回復費用に充当され、礼金は収入として計上されます。契約期間が普通借家(借地借家法第26条)なのか定期借家(借地借家法第38条)なのかも重要な確認項目で、普通借家は借主の保護が厚いぶん退去させにくく、定期借家は契約満了で確実に退去させられる代わりに家賃を高めに設定しにくい傾向があります。更新料の有無も、更新時のキャッシュフローに影響します。

収益性の再計算

レントロールに記載されている家賃をそのまま信じるのではなく、相場家賃と空室率で再計算してみましょう。

相場家賃での再計算

仮に現状家賃が月40万円(8室×平均5万円)の物件で、近隣相場をヒアリングしたところ平均4.5万円が妥当と判明したケースです。長期入居者の家賃が相場より高止まりしている分、退去ごとに段階的に家賃収入が減ります。

相場家賃で再計算した場合の月額家賃収入現状家賃ベース40.0万円相場家賃ベース36.0万円年間差額▲48万円/年(4.0万円 × 12ヶ月)※ 0〜45万円のスケール。8室×平均家賃で算出

相場家賃で利回りを再計算し、投資判断の材料にします。

空室を考慮した計算

業者の表示利回りは満室想定が前提のため、現実的な空室率を当てはめて再計算する必要があります。築古アパートなら空室率5〜10%、立地が弱い物件ならさらに保守的に見るのが妥当です。

空室率を考慮した場合の家賃収入満室想定(業者表示)40.0万円空室率5%考慮38.0万円年間収入満室480万円 → 456万円(▲24万円)※ 0〜45万円のスケール。月額を年換算した数値も併記

レントロールの注意点

1. サクラ入居の可能性

満室稼働を演出して高値で売り抜けるために、売却直前だけ一時的に入居者を入れているケースがあります。入居日が売り出し直前の数か月以内に集中している、家賃が相場より明らかに高い、敷金礼金がゼロ——こうした特徴が複数重なる場合は、引き渡し後すぐに一斉退去するリスクを疑ってかかるべきです。賃貸借契約書の原本や家賃送金明細の写しを請求し、実際に入居者から家賃が振り込まれているかを確認しましょう。

2. 法人契約の中身

法人契約は個人契約より安定しているように見えますが、社宅として実際に使用されているのか、契約企業の業績は安定しているのか、撤退リスクはないのかまで踏み込んで確認する必要があります。1社で複数戸を借り上げている物件は特に要注意で、その企業が拠点を引き払うだけで一気に空室化します。

3. 滞納者の有無

レントロール上は入居している扱いでも、家賃の滞納が続いている部屋は珍しくありません。直近6か月程度の家賃送金明細を取り寄せて、入金が止まっている部屋がないかを確認しましょう。家賃保証会社が入っているかどうかも、滞納時の回収可能性を左右する重要な情報です。

さらに踏み込んだ論点(姉妹サイト:不動産解体新書)

レントロールから読み取れる情報をどう投資判断に活かすかは、収益物件評価を扱う姉妹サイト 不動産解体新書(fudokai.jp) で詳しく解説しています。4年償却ナビが「医師・歯科医向けの節税」に焦点を絞っている一方で、不動産解体新書は収益物件評価・出口戦略全般を扱う棲み分けです。

まとめ

レントロールは物件の収益性を判断するうえで最も重要な資料ですが、売主側に都合よく整えられている前提で読み解く必要があります。家賃と相場の乖離、空室の状況、入居期間のバランスを丁寧に確認したうえで、相場家賃と現実的な空室率で収益を再計算してみましょう。再計算で見えてきた問題点は、そのまま価格交渉の根拠として活用できます。

レントロールの読み方を押さえたら、続けて姉妹サイト不動産解体新書で 業者の利回りアピール と 全空室物件の背景 を確認し、最後に 価格交渉の進め方 まで通すと、一棟物件の評価から交渉までの全体像が見えます。

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本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の税務上の助言ではありません。税制は法令改正や国税庁の通達等により取扱いが変更される場合があります。具体的な税務判断については、必ず税理士等の専門家にご相談ください。

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