不動産所得の基礎|収入と経費の考え方
税務・確定申告 2026.02.22 公開
この記事でわかること
Q. 不動産所得とは何ですか?
A. 不動産所得とは、土地や建物の貸付けによって得た所得のことです。家賃収入から必要経費を差し引いた金額が不動産所得となります。これは給与所得や事業所得とは別に計算され、最終的に合算して所得税を計算します。
Q. 不動産所得がマイナスになることはありますか?
A. はい、あります。減価償却費や借入金利子などの経費が家賃収入を上回ると、不動産所得はマイナス(赤字)になります。この赤字は、給与所得など他の所得と損益通算することで、所得税を減らすことができます。
Q. 不動産所得と不動産事業所得の違いは?
A. 基本的な計算方法は同じですが、「事業的規模」かどうかで青色申告特別控除の金額などが異なります。5棟10室以上の規模であれば事業的規模と認められ、65万円控除などの優遇を受けられます。
Q. 不動産所得の計算で漏れやすい収入項目は?
A. 家賃以外に、礼金・更新料、共益費・管理費、駐車場収入、自動販売機収入、遅延損害金なども不動産収入に含まれます。敷金は預り金のため原則収入になりませんが、返還不要部分は収入計上が必要です。
Q. 事業的規模と非事業的規模で何が変わりますか?
A. 事業的規模(5棟10室以上)であれば、青色申告特別控除65万円、青色事業専従者給与の計上、資産損失の全額必要経費算入、貸倒損失の計上が可能です。非事業的規模では控除が10万円に制限されるなど、税務上の優遇が限定的になります。
不動産所得とは
不動産所得とは、土地や建物の貸付けによって得た所得のことです。
アパート経営による家賃収入は、不動産所得として確定申告します。
不動産所得の計算式
不動産所得 = 総収入金額 − 必要経費
この計算結果がプラスなら利益、マイナス(赤字)なら損失となります。
総収入金額(収入)
収入に含まれるもの
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 家賃 | 毎月の賃料収入 |
| 共益費・管理費 | 入居者から徴収する費用 |
| 礼金 | 返還不要の入居一時金 |
| 更新料 | 契約更新時の収入 |
| 駐車場収入 | 駐車場の賃料 |
| その他 | 看板設置料、自販機収入など |
収入の計上時期
| 方式 | 内容 |
|---|---|
| 発生主義(原則) | 家賃の支払期日に計上 |
| 現金主義(例外) | 実際に受け取った時に計上 |
青色申告の場合、現金主義を選択することも可能です。
敷金・保証金の扱い
| 項目 | 収入計上 |
|---|---|
| 敷金(返還する) | 計上しない |
| 敷金(返還しない部分) | 計上する |
| 礼金 | 計上する |
必要経費
経費に含まれるもの
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 減価償却費 | 建物・設備の償却費 |
| 借入金利子 | ローンの利息部分 |
| 固定資産税 | 土地・建物の税金 |
| 管理費 | 管理会社への委託費 |
| 修繕費 | 通常の維持修繕費用 |
| 保険料 | 火災保険・地震保険 |
| 通信費・交通費 | 物件管理に関する費用 |
| 税理士費用 | 確定申告の代行費用 |
経費にならないもの
| 項目 | 理由 |
|---|---|
| 借入金の元本返済 | 資産の取得であり経費ではない |
| 所得税・住民税 | 家事費 |
| 罰金・過料 | 必要経費として認められない |
| 生活費 | 家事費 |
減価償却費の重要性
4年償却の場合
築22年超の木造建物は、4年間で減価償却できます。
例
- 建物価格:4,000万円
- 償却期間:4年
- 年間償却費:1,000万円
この1,000万円が毎年の経費となり、不動産所得を大幅に減らせます。
減価償却と実際の支出
減価償却費は実際の現金支出を伴わない経費です。
家賃収入(現金IN):500万円
減価償却費(現金OUTなし):1,000万円
不動産所得:▲500万円(赤字)
キャッシュフローはプラスでも、税務上は赤字になることがあります。
損益通算
損益通算とは
不動産所得の赤字を、他の所得(給与所得など)と相殺できる制度です。
給与所得:1,500万円
不動産所得:▲500万円
課税所得:1,000万円
→ 所得税が減る
損益通算の制限
土地の取得に係る借入金利子は、損益通算から除外されます。
建物の借入金利子:100万円 → 損益通算OK
土地の借入金利子:50万円 → 損益通算NG
不動産所得の計算例
前提条件
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年間家賃収入 | 600万円 |
| 減価償却費 | 800万円 |
| 借入金利子 | 100万円 |
| 固定資産税 | 50万円 |
| 管理費 | 30万円 |
| その他経費 | 20万円 |
計算
総収入金額:600万円
必要経費:800万円 + 100万円 + 50万円 + 30万円 + 20万円 = 1,000万円
不動産所得:600万円 − 1,000万円 = ▲400万円
この▲400万円を給与所得と損益通算することで、節税効果を得られます。
事業的規模の判定
5棟10室基準
| 規模 | 基準 |
|---|---|
| 事業的規模 | 貸家5棟以上、またはアパート10室以上 |
| 非事業的規模 | 上記未満 |
事業的規模のメリット
| 項目 | 事業的規模 | 非事業的規模 |
|---|---|---|
| 青色申告特別控除 | 最大65万円 | 最大10万円 |
| 青色事業専従者給与 | 可 | 不可 |
| 回収不能賃料 | 必要経費可 | 貸倒損失のみ |
| 資産損失 | 全額必要経費 | 不動産所得内で控除 |
まとめ
- 不動産所得 = 総収入金額 − 必要経費
- 減価償却費は現金支出なしで経費計上できる
- 赤字は給与所得と損益通算して節税可能
- 土地の借入金利子は損益通算から除外される
- 5棟10室以上で事業的規模のメリットあり
不動産所得の計算は複雑なため、確定申告は税理士に依頼することをおすすめします。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の税務上の助言ではありません。税制は法令改正や国税庁の通達等により取扱いが変更される場合があります。具体的な税務判断については、必ず税理士等の専門家にご相談ください。
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