法人設立・維持コストの全体像|年間いくらかかるか
法人戦略 2026.02.20 公開 2026.04.14 更新
この記事でわかること
Q. 法人設立にはいくらかかりますか?
A. 合同会社なら約10〜15万円、株式会社なら約25〜30万円程度です。これには登録免許税、定款認証費用(株式会社のみ)、司法書士報酬などが含まれます。自分で手続きを行えば、さらに5〜10万円程度安くなります。
Q. 法人の年間維持費用はどのくらいですか?
A. 最低でも年間30〜50万円程度を見込んでおきましょう。内訳は、法人住民税均等割(約7万円)、税理士顧問料(12〜24万円)、決算申告費用(10〜20万円)などです。役員報酬を支払う場合は社会保険料も加わります。
Q. 赤字でも税金はかかりますか?
A. はい、法人住民税の均等割は赤字でも課税されます。東京23区の場合、資本金1,000万円以下で年間約7万円です。これは法人が存在する限り必ずかかる固定費用です。
Q. 決算月はいつに設定すべきですか?
A. 物件取得時期を考慮して設定します。取得直後に決算を迎えると初年度の償却期間が短くなるため、取得予定月の翌月を決算月にすると約1年間フルに償却できます。また、繁忙期を避けた設定も実務上有効です。
Q. 法人設立後に必要な届出は何ですか?
A. 税務署への法人設立届出書・青色申告承認申請書・給与支払事務所等の開設届出書、都道府県・市区町村への法人設立届出書、年金事務所への社会保険の新規適用届が必要です。設立後2ヶ月以内に提出するものが多いです。
法人設立にかかる費用
法人を設立する際には、登記費用をはじめとするさまざまな初期費用がかかります(会社法第575条〜第614条〈合同会社〉、第25条〜第103条〈株式会社〉)。
合同会社の設立費用
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 登録免許税 | 6万円 |
| 定款認証 | 不要(0円) |
| 印紙代 | 0円(電子定款の場合) |
| 司法書士報酬 | 5〜10万円 |
| 印鑑作成費 | 5,000〜2万円 |
| 合計 | 約12〜18万円 |
自分で手続きを行う場合は、司法書士報酬が不要で 約7〜10万円 で設立可能です。
株式会社の設立費用
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 登録免許税 | 15万円 |
| 定款認証 | 約5万円 |
| 印紙代 | 0円(電子定款の場合) |
| 司法書士報酬 | 5〜10万円 |
| 印鑑作成費 | 5,000〜2万円 |
| 合計 | 約26〜32万円 |
法人の年間維持コスト
必須の固定費用
| 費用項目 | 年間費用 | 備考 |
|---|---|---|
| 法人住民税均等割 | 約7万円 | 赤字でも必須(東京23区の場合) |
| 税理士顧問料 | 12〜24万円 | 月1〜2万円 |
| 決算申告費用 | 10〜20万円 | 税理士による決算・申告作業 |
| 法人税申告書作成 | 顧問料に含むか別途 | - |
| 合計 | 約30〜50万円 | - |
状況に応じてかかる費用
| 費用項目 | 年間費用 | 条件 |
|---|---|---|
| 社会保険料(会社負担分) | 役員報酬の約15% | 役員報酬を支払う場合 |
| 労働保険料 | 給与総額の約1% | 従業員がいる場合 |
| 役員変更登記費用 | 1〜3万円 | 株式会社で任期満了時 |
| 決算公告費用 | 約6万円 | 株式会社のみ |
具体的なシミュレーション
ケース1:最小構成の合同会社
| 条件 |
|---|
| 役員報酬:なし(他に収入あり) |
| 税理士:顧問契約あり |
| 従業員:なし |
| 費用項目 | 年間費用 |
|---|---|
| 法人住民税均等割 | 7万円 |
| 税理士顧問料 | 12万円 |
| 決算申告費用 | 10万円 |
| 年間合計 | 29万円 |
ケース2:役員報酬ありの合同会社
| 条件 |
|---|
| 役員報酬:月額30万円(年間360万円) |
| 税理士:顧問契約あり |
| 従業員:なし |
| 費用項目 | 年間費用 |
|---|---|
| 法人住民税均等割 | 7万円 |
| 税理士顧問料 | 18万円 |
| 決算申告費用 | 15万円 |
| 社会保険料(会社負担) | 約54万円 |
| 年間合計 | 約94万円 |
ケース3:株式会社
| 条件 |
|---|
| 役員報酬:月額50万円(年間600万円) |
| 税理士:顧問契約あり |
| 従業員:なし |
| 費用項目 | 年間費用 |
|---|---|
| 法人住民税均等割 | 7万円 |
| 税理士顧問料 | 24万円 |
| 決算申告費用 | 20万円 |
| 社会保険料(会社負担) | 約90万円 |
| 決算公告費用 | 6万円 |
| 年間合計 | 約147万円 |
コストを抑えるポイント
1. 合同会社を選択
株式会社と比べて、設立費用で約15万円、年間費用で約6万円(決算公告)のコスト削減。
2. 税理士費用の見直し
| 対応方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| クラウド会計の活用 | 記帳代行費用を削減 | 自分で入力が必要 |
| 決算のみ依頼 | 顧問料が不要 | 相談がしにくい |
| 複数の税理士に相見積もり | 適正価格の把握 | 手間がかかる |
3. 役員報酬の最適化
役員報酬を抑えると社会保険料も減りますが、所得分散効果も減少します。節税効果とのバランスを考慮して設定しましょう。
4. 資本金を抑える
資本金1,000万円以上になると、法人住民税均等割が増加します(約7万円→約18万円)。
法人化の損益分岐点
法人維持コスト(年間30〜50万円)を上回る節税効果があるかがポイントです。
法人化を検討すべき目安
| 条件 | 法人化の検討 |
|---|---|
| 不動産所得 | 年間500万円以上 |
| 総所得 | 年間900万円以上(所得税率33%以上) |
| 物件数 | 2棟以上保有予定 |
| 家族の活用 | 配偶者等への所得分散が可能 |
まとめ
- 法人設立費用:合同会社約10〜15万円、株式会社約25〜30万円
- 年間維持費用:最低約30万円、役員報酬ありで約100万円程度
- 赤字でも法人住民税均等割(約7万円)は必須
- コスト削減には合同会社選択、税理士費用の見直しが有効
- 年間維持コストを上回る節税効果があるか検証して法人化を判断
法人化はコストがかかりますが、長期的には大きな節税効果が期待できます。税理士と相談して、最適なタイミングで法人化を検討しましょう。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の税務上の助言ではありません。税制は法令改正や国税庁の通達等により取扱いが変更される場合があります。具体的な税務判断については、必ず税理士等の専門家にご相談ください。
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