法人戦略 公開: 2025.01.15
法人の出口戦略|解散・清算の進め方
法人の出口戦略とは
法人の出口戦略とは、設立した法人をどのように終了させるかの計画です。
資産管理会社の場合、主に以下の選択肢があります。
| 出口戦略 | 内容 |
|---|---|
| 解散・清算 | 法人を終了させ、残余財産を分配 |
| 事業譲渡 | 物件を別の法人や個人に売却 |
| 株式譲渡 | 法人ごと第三者に売却 |
| 合併 | 他の法人と統合 |
| 休眠 | 活動を停止(法人格は維持) |
解散・清算の流れ
全体の流れ
解散決議
↓
解散登記
↓
清算事務(債権回収・債務弁済・資産処分)
↓
清算確定申告
↓
残余財産の分配
↓
清算結了登記
↓
届出(税務署等)
ステップ1:解散決議
株主総会(合同会社の場合は社員総会)で解散を決議します。
| 会社形態 | 必要な決議 |
|---|---|
| 株式会社 | 株主総会の特別決議(2/3以上) |
| 合同会社 | 社員の全員一致 |
ステップ2:解散登記
解散から2週間以内に、法務局に解散登記を申請します。
必要書類
- 解散登記申請書
- 株主総会議事録(または社員総会議事録)
- 清算人の就任承諾書
- 印鑑届出書
費用:登録免許税3万円+司法書士報酬
ステップ3:清算事務
清算人が以下の業務を行います。
| 業務内容 |
|---|
| 債権の回収(家賃の回収など) |
| 債務の弁済(借入金の返済など) |
| 資産の処分(物件の売却など) |
| 税務申告(清算確定申告) |
ステップ4:残余財産の分配
債務を全て弁済した後、残った財産を株主に分配します。
残余財産 = 資産 − 債務 − 清算費用 − 税金
ステップ5:清算結了登記
全ての清算事務が完了したら、清算結了の登記を行います。
費用:登録免許税2,000円+司法書士報酬
税務上の取り扱い
解散事業年度の申告
解散日までの期間で通常の確定申告を行います。
清算事業年度の申告
解散後は清算中の各事業年度ごとに清算確定申告を行います。
清算所得課税
残余財産の分配時に、以下の計算で清算所得を求めます。
清算所得 = 残余財産の価額 − 解散時の資本金等 − 繰越欠損金
清算所得に対して法人税が課税されます。
株主への課税(みなし配当)
残余財産の分配を受けた株主には、みなし配当として課税されます。
みなし配当 = 分配額 − 株式の取得価額に対応する部分
役員退職金の活用
解散前に役員退職金を支給することで、法人の利益を減らし、節税できます。
退職金のメリット
| 法人側 | 役員個人側 |
|---|---|
| 損金算入できる | 退職所得として優遇税制 |
適正な退職金額の算定
退職金 = 最終報酬月額 × 勤続年数 × 功績倍率
功績倍率の目安:
- 代表取締役:2.0〜3.0倍
- 取締役:1.5〜2.0倍
注意点
過大な退職金は、税務調査で否認される可能性があります。同業・同規模の相場を参考に設定しましょう。
物件を保有している場合
解散前に売却する
最も一般的な方法です。売却益に対して法人税がかかりますが、繰越欠損金があれば相殺できます。
株主に現物分配する
物件を金銭ではなく現物で分配することも可能です。ただし、時価で譲渡したものとみなされ、法人に譲渡所得が発生します。
株式ごと売却する
物件を持ったまま法人の株式を第三者に売却する方法もあります。清算手続きが不要で、買主が法人ごと取得します。
解散にかかる費用
| 費用項目 | 目安金額 |
|---|---|
| 解散登記 | 3万円+司法書士報酬 |
| 清算結了登記 | 2,000円+司法書士報酬 |
| 官報公告 | 約3万円 |
| 税理士費用 | 10〜30万円 |
| 合計 | 約20〜50万円 |
休眠という選択肢
すぐに解散せず、法人を休眠させる方法もあります。
休眠のメリット
- 解散費用がかからない
- 将来再び活用できる
- 繰越欠損金を維持できる
休眠のデメリット
- 法人住民税均等割(年間約7万円)は発生し続ける
- 毎年の申告義務は残る
- 12年以上登記がないと強制解散の対象
まとめ
- 法人の出口戦略は、解散・清算、事業譲渡、株式譲渡などがある
- 解散・清算は決議→登記→清算事務→結了登記の流れ
- 清算所得と株主へのみなし配当に課税される
- 解散前の役員退職金は節税に有効
- 物件は解散前に売却するのがスムーズ
- 休眠は解散の代替手段だが、均等割は発生し続ける
法人の出口戦略は、設立時から考えておくことが重要です。税理士と相談しながら、最適なタイミングと方法を検討しましょう。


