出口戦略・売却 公開: 2025.01.15
譲渡所得税の計算方法|売却益の正確な把握
譲渡所得税の基本
不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、譲渡所得税がかかります。
譲渡所得税は、他の所得とは分離して計算する「分離課税」方式です。
譲渡所得の計算式
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 売却価格 | 実際の売却代金 |
| 取得費 | 購入代金+購入時諸費用−減価償却費 |
| 譲渡費用 | 売却時にかかった費用 |
取得費の計算
取得費に含まれるもの
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 購入代金 | 土地・建物の購入価格 |
| 購入時の仲介手数料 | 売買価格の3%+6万円程度 |
| 登録免許税 | 所有権移転登記費用 |
| 不動産取得税 | 購入後に課税 |
| 印紙税 | 契約書の印紙代 |
| 測量費・造成費 | 土地の整備費用 |
減価償却費の控除
建物の取得費は、減価償却費を差し引きます。
建物の取得費 = 購入時の建物価格 − 減価償却累計額
4年償却で全額償却した場合:
建物の取得費 = 購入時の建物価格 − 購入時の建物価格 = 0円
概算取得費
取得費が不明な場合、**売却価格の5%**を取得費として計算できます。
ただし、実際の取得費の方が大きい場合は不利になるため、購入時の書類は必ず保管しておきましょう。
譲渡費用に含まれるもの
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 仲介手数料 | 売却時の不動産会社への報酬 |
| 印紙税 | 売買契約書の印紙代 |
| 測量費 | 売却のための測量 |
| 立退料 | 入居者への立退料 |
| 建物取壊し費用 | 更地で売却する場合 |
税率
| 区分 | 保有期間 | 税率(所得税+住民税) |
|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 20.315% |
※復興特別所得税を含む
計算例:4年償却後の売却
前提条件
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 購入価格 | 6,000万円 |
| 内訳:建物 | 3,000万円 |
| 内訳:土地 | 3,000万円 |
| 購入時諸費用 | 400万円 |
| 減価償却累計額(4年間) | 3,000万円 |
| 売却価格 | 5,500万円 |
| 売却時諸費用 | 200万円 |
| 保有期間 | 6年(長期譲渡) |
取得費の計算
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 土地 | 3,000万円 | 3,000万円 |
| 建物 | 3,000万円 − 3,000万円 | 0円 |
| 購入時諸費用 | 400万円 | 400万円 |
| 取得費合計 | - | 3,400万円 |
譲渡所得の計算
譲渡所得 = 5,500万円 −(3,400万円 + 200万円)= 1,900万円
税額の計算
税額 = 1,900万円 × 20.315% = 約386万円
節税効果と譲渡所得税の関係
4年間の節税効果
| 項目 | 計算 |
|---|---|
| 減価償却費累計 | 3,000万円 |
| 所得税率(仮定) | 45% |
| 節税効果 | 3,000万円 × 45% = 1,350万円 |
売却時の税負担
譲渡所得税:386万円
トータルの効果
節税効果 1,350万円 − 譲渡所得税 386万円 = 964万円のメリット
4年償却の節税効果が、売却時の譲渡所得税を大きく上回ります。
注意すべきポイント
1. 書類の保管
購入時の契約書、領収書、諸費用の明細は必ず保管。紛失すると概算取得費(5%)しか使えません。
2. 土地と建物の按分
購入時に土地と建物の価格が明確でない場合、合理的な方法で按分する必要があります。
3. 売却時期の確認
短期・長期の判定は「売却年の1月1日時点」で行います。
4. 特別控除の確認
居住用財産の3,000万円控除など、投資用物件には適用されない特例もあります。
まとめ
- 譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)
- 建物の取得費は減価償却累計額を差し引く
- 4年償却後は建物の取得費がゼロに近くなる
- 長期譲渡(5年超)の税率は約20%、短期は約40%
- 節税効果と譲渡所得税を比較して投資判断を
譲渡所得税の計算は複雑なため、売却前に税理士に相談してシミュレーションを行いましょう。


