出口戦略・売却 公開: 2025.01.15
3,000万円特別控除は使えるか|投資用不動産の扱い
3,000万円特別控除とは
3,000万円特別控除とは、居住用財産(マイホーム)を売却した場合に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。
正式名称は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。
適用条件
主な条件
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 居住用財産であること | 自分が住んでいた家屋・土地 |
| 住まなくなってから3年以内 | 転居後3年の年末まで |
| 親族等への売却でないこと | 配偶者、直系血族などへの売却は不可 |
| 前年・前々年に適用を受けていない | 3年に1度の制限 |
居住用財産の定義
「居住用財産」とは、以下のいずれかに該当する財産です。
- 現に居住している家屋とその敷地
- 居住しなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する家屋とその敷地
- 家屋を取り壊した場合、取り壊し後1年以内に売却する土地
投資用不動産への適用
原則:適用不可
投資用(賃貸用)の不動産は、3,000万円特別控除の対象外です。
購入当初から賃貸目的で取得した物件は、居住用財産に該当しません。
適用できないケース
| ケース | 理由 |
|---|---|
| 購入から一度も住んでいない | 居住用財産に該当しない |
| 完全な賃貸物件 | 投資用であり居住用ではない |
| 法人名義の物件 | 個人の居住用財産に限定 |
例外的に適用できるケース
1. 元マイホームを賃貸に出した場合
自分が住んでいた家を賃貸に出し、その後売却する場合は、条件付きで適用可能です。
条件
- 住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに売却
- 居住していた実績があること
例
- 2024年3月に転居、賃貸開始
- 2027年12月31日までに売却すれば適用可能
2. 賃貸併用住宅の自己居住部分
賃貸併用住宅(1階が賃貸、2階が自宅など)の場合、自己居住部分のみ3,000万円控除が適用できます。
売却益 × 自己居住面積割合 → 3,000万円控除の対象
3. 一時的な転勤による賃貸
転勤などで一時的に賃貸に出し、将来戻る予定がある場合は、「居住の意思」があるとして認められることがあります。
ただし、長期間の賃貸は認められにくくなります。
投資用不動産の売却時の対策
3,000万円控除が使えない投資用不動産の売却では、以下の対策が有効です。
1. 長期譲渡所得で売却
保有期間5年超で売却し、税率を20%に抑える。
2. 繰越欠損金の活用(法人)
法人の場合、繰越欠損金と売却益を相殺できる。
3. 複数年に分けて売却
複数物件を保有している場合、売却を複数年に分散して税負担を平準化。
4. 居住用に転用
売却前に自分で居住し、居住用財産として売却する方法。ただし、租税回避として否認されるリスクがあります。
注意点:居住用への転用
投資用物件を売却前に自分で居住して3,000万円控除を受けようとする「節税スキーム」は、税務調査で否認されるリスクが高いです。
否認されやすいケース
- 売却直前に短期間だけ居住
- 実際には居住していない(住民票だけ移動)
- 居住の実態がない
否認されると
- 控除が取り消される
- 過少申告加算税・延滞税が課される
- 悪質な場合は重加算税も
投資用物件は最初から3,000万円控除を期待せず、長期譲渡での売却を前提に計画しましょう。
関連する他の特例
| 特例 | 内容 | 投資用への適用 |
|---|---|---|
| 3,000万円特別控除 | 譲渡所得から3,000万円控除 | × |
| 10年超所有の軽減税率 | 税率が14%に軽減 | × |
| 買換え特例 | 課税の繰延べ | △(事業用資産の場合) |
| 特定事業用資産の買換え | 課税の繰延べ | ○ |
まとめ
- 3,000万円特別控除は「居住用財産」が対象
- 投資用(賃貸用)不動産には原則適用不可
- 元マイホームを賃貸化した場合は、3年以内の売却で適用可能
- 売却前に居住用に転用する節税は否認リスクが高い
- 投資用物件は長期譲渡所得(5年超)での売却を基本に
投資用物件の売却は、3,000万円控除に頼らない出口戦略を立てることが重要です。


