この記事でわかること

Q. 不動産所得とは何ですか?
A. 不動産所得とは、土地や建物の貸付けによって得た所得のことです。家賃収入から必要経費を差し引いた金額が不動産所得となります。これは給与所得や事業所得とは別に計算され、最終的に合算して所得税を計算します。
Q. 不動産所得がマイナスになることはありますか?
A. はい、あります。減価償却費や借入金利子などの経費が家賃収入を上回ると、不動産所得はマイナス(赤字)になります。この赤字は、給与所得など他の所得と損益通算することで、所得税を減らすことができます。
Q. 不動産所得と不動産事業所得の違いは?
A. 基本的な計算方法は同じですが、「事業的規模」かどうかで青色申告特別控除の金額などが異なります。5棟10室以上の規模であれば事業的規模と認められ、65万円控除などの優遇を受けられます。
不動産所得の基礎|収入と経費の考え方
税務・確定申告 公開: 2025.01.15

不動産所得の基礎|収入と経費の考え方

不動産所得とは

不動産所得とは、土地や建物の貸付けによって得た所得のことです。

アパート経営による家賃収入は、不動産所得として確定申告します。

不動産所得の計算式

不動産所得 = 総収入金額 − 必要経費

この計算結果がプラスなら利益、マイナス(赤字)なら損失となります。

総収入金額(収入)

収入に含まれるもの

項目内容
家賃毎月の賃料収入
共益費・管理費入居者から徴収する費用
礼金返還不要の入居一時金
更新料契約更新時の収入
駐車場収入駐車場の賃料
その他看板設置料、自販機収入など

収入の計上時期

方式内容
発生主義(原則)家賃の支払期日に計上
現金主義(例外)実際に受け取った時に計上

青色申告の場合、現金主義を選択することも可能です。

敷金・保証金の扱い

項目収入計上
敷金(返還する)計上しない
敷金(返還しない部分)計上する
礼金計上する

必要経費

経費に含まれるもの

項目内容
減価償却費建物・設備の償却費
借入金利子ローンの利息部分
固定資産税土地・建物の税金
管理費管理会社への委託費
修繕費通常の維持修繕費用
保険料火災保険・地震保険
通信費・交通費物件管理に関する費用
税理士費用確定申告の代行費用

経費にならないもの

項目理由
借入金の元本返済資産の取得であり経費ではない
所得税・住民税家事費
罰金・過料必要経費として認められない
生活費家事費

減価償却費の重要性

4年償却の場合

築22年超の木造建物は、4年間で減価償却できます。

  • 建物価格:4,000万円
  • 償却期間:4年
  • 年間償却費:1,000万円

この1,000万円が毎年の経費となり、不動産所得を大幅に減らせます。

減価償却と実際の支出

減価償却費は実際の現金支出を伴わない経費です。

家賃収入(現金IN):500万円
減価償却費(現金OUTなし):1,000万円
不動産所得:▲500万円(赤字)

キャッシュフローはプラスでも、税務上は赤字になることがあります。

損益通算

損益通算とは

不動産所得の赤字を、他の所得(給与所得など)と相殺できる制度です。

給与所得:1,500万円
不動産所得:▲500万円
課税所得:1,000万円
→ 所得税が減る

損益通算の制限

土地の取得に係る借入金利子は、損益通算から除外されます。

建物の借入金利子:100万円 → 損益通算OK
土地の借入金利子:50万円 → 損益通算NG

不動産所得の計算例

前提条件

項目金額
年間家賃収入600万円
減価償却費800万円
借入金利子100万円
固定資産税50万円
管理費30万円
その他経費20万円

計算

総収入金額:600万円
必要経費:800万円 + 100万円 + 50万円 + 30万円 + 20万円 = 1,000万円
不動産所得:600万円 − 1,000万円 = ▲400万円

この▲400万円を給与所得と損益通算することで、節税効果を得られます。

事業的規模の判定

5棟10室基準

規模基準
事業的規模貸家5棟以上、またはアパート10室以上
非事業的規模上記未満

事業的規模のメリット

項目事業的規模非事業的規模
青色申告特別控除最大65万円最大10万円
青色事業専従者給与不可
回収不能賃料必要経費可貸倒損失のみ
資産損失全額必要経費不動産所得内で控除

まとめ

  • 不動産所得 = 総収入金額 − 必要経費
  • 減価償却費は現金支出なしで経費計上できる
  • 赤字は給与所得と損益通算して節税可能
  • 土地の借入金利子は損益通算から除外される
  • 5棟10室以上で事業的規模のメリットあり

不動産所得の計算は複雑なため、確定申告は税理士に依頼することをおすすめします。

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