税務・確定申告 公開: 2025.01.15
不動産所得の基礎|収入と経費の考え方
不動産所得とは
不動産所得とは、土地や建物の貸付けによって得た所得のことです。
アパート経営による家賃収入は、不動産所得として確定申告します。
不動産所得の計算式
不動産所得 = 総収入金額 − 必要経費
この計算結果がプラスなら利益、マイナス(赤字)なら損失となります。
総収入金額(収入)
収入に含まれるもの
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 家賃 | 毎月の賃料収入 |
| 共益費・管理費 | 入居者から徴収する費用 |
| 礼金 | 返還不要の入居一時金 |
| 更新料 | 契約更新時の収入 |
| 駐車場収入 | 駐車場の賃料 |
| その他 | 看板設置料、自販機収入など |
収入の計上時期
| 方式 | 内容 |
|---|---|
| 発生主義(原則) | 家賃の支払期日に計上 |
| 現金主義(例外) | 実際に受け取った時に計上 |
青色申告の場合、現金主義を選択することも可能です。
敷金・保証金の扱い
| 項目 | 収入計上 |
|---|---|
| 敷金(返還する) | 計上しない |
| 敷金(返還しない部分) | 計上する |
| 礼金 | 計上する |
必要経費
経費に含まれるもの
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 減価償却費 | 建物・設備の償却費 |
| 借入金利子 | ローンの利息部分 |
| 固定資産税 | 土地・建物の税金 |
| 管理費 | 管理会社への委託費 |
| 修繕費 | 通常の維持修繕費用 |
| 保険料 | 火災保険・地震保険 |
| 通信費・交通費 | 物件管理に関する費用 |
| 税理士費用 | 確定申告の代行費用 |
経費にならないもの
| 項目 | 理由 |
|---|---|
| 借入金の元本返済 | 資産の取得であり経費ではない |
| 所得税・住民税 | 家事費 |
| 罰金・過料 | 必要経費として認められない |
| 生活費 | 家事費 |
減価償却費の重要性
4年償却の場合
築22年超の木造建物は、4年間で減価償却できます。
例
- 建物価格:4,000万円
- 償却期間:4年
- 年間償却費:1,000万円
この1,000万円が毎年の経費となり、不動産所得を大幅に減らせます。
減価償却と実際の支出
減価償却費は実際の現金支出を伴わない経費です。
家賃収入(現金IN):500万円
減価償却費(現金OUTなし):1,000万円
不動産所得:▲500万円(赤字)
キャッシュフローはプラスでも、税務上は赤字になることがあります。
損益通算
損益通算とは
不動産所得の赤字を、他の所得(給与所得など)と相殺できる制度です。
給与所得:1,500万円
不動産所得:▲500万円
課税所得:1,000万円
→ 所得税が減る
損益通算の制限
土地の取得に係る借入金利子は、損益通算から除外されます。
建物の借入金利子:100万円 → 損益通算OK
土地の借入金利子:50万円 → 損益通算NG
不動産所得の計算例
前提条件
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年間家賃収入 | 600万円 |
| 減価償却費 | 800万円 |
| 借入金利子 | 100万円 |
| 固定資産税 | 50万円 |
| 管理費 | 30万円 |
| その他経費 | 20万円 |
計算
総収入金額:600万円
必要経費:800万円 + 100万円 + 50万円 + 30万円 + 20万円 = 1,000万円
不動産所得:600万円 − 1,000万円 = ▲400万円
この▲400万円を給与所得と損益通算することで、節税効果を得られます。
事業的規模の判定
5棟10室基準
| 規模 | 基準 |
|---|---|
| 事業的規模 | 貸家5棟以上、またはアパート10室以上 |
| 非事業的規模 | 上記未満 |
事業的規模のメリット
| 項目 | 事業的規模 | 非事業的規模 |
|---|---|---|
| 青色申告特別控除 | 最大65万円 | 最大10万円 |
| 青色事業専従者給与 | 可 | 不可 |
| 回収不能賃料 | 必要経費可 | 貸倒損失のみ |
| 資産損失 | 全額必要経費 | 不動産所得内で控除 |
まとめ
- 不動産所得 = 総収入金額 − 必要経費
- 減価償却費は現金支出なしで経費計上できる
- 赤字は給与所得と損益通算して節税可能
- 土地の借入金利子は損益通算から除外される
- 5棟10室以上で事業的規模のメリットあり
不動産所得の計算は複雑なため、確定申告は税理士に依頼することをおすすめします。


